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法話houwa

おもに18日観音様の法話を掲載しています。

生死事大 無常迅速(令和3年6月18日)


今日は、6月18日金曜日、観音様の日であります。
今月も、非常事態宣言を受けまして、わたし1人でご祈祷をさせていただきます。


さて、先月の五月三十日に、作曲家の小林亜星(あせい)さんが88歳でお亡くなりになりました。


 私も、皆さんも、よく知っている作曲家さんだと思いますが、数々の曲を世に送り出してきた方であります。レナウンのCMソング「わんさか娘」、「ぱっとサイデリア」、日立の木で有名な「この木なんの木」の代表曲。そして「北の宿から」や日本昔話の主題歌など、生涯作曲数は、9000曲にも、のぼるそうです。


日立ホームページより



わたしもおぼろげながら覚えていますが、寺内貫太郎一家で、頑固親父の俳優をつとめ、CMでは一転、まん丸な大きな身体で、お茶目でコミカルな動きを演じ、親しみのある方でありました。


CMも長い間、放映されていまして、多くの方の耳に、記憶が残っているのではないでしょうか?9000もの曲を作り出すということは、大学卒業後ですから、ざっと年間150もの作曲をしてきたことになります。


仏教の言葉に「生死事大 無常迅速」
(しょうじじだい むじょうじんそく)という言葉があります。

その意味は「生死の問題はとても重大なことである、時は無常迅速に過ぎ去っていくから、各各人人はこのことに目覚めて、弁道精進につとめ、無駄に時を過ごしてはいけない」と。



 人は、一日8時間睡眠をとるひとでしたら、人生の約三分の一を眠りに費やすことになります。60年の人生ならば、20年間は眠って過ごした計算になる。睡眠は体にとって重要なことでありますが、何の為に生きるのか、ということは人間にとって更に重要であります。



永平寺を開かれました道元禅師様も「無常を観ずる時、吾我の心、生ぜず。名利の念、起こらず。時光のはなはだ、速やかなることを恐怖(くふ)す」とあります。



「無常を感じる時、俺が俺がと言う心は生ぜず、名声や利潤を追求することも求めない。ただ、時が、あまりにも早く過ぎ去っていくことを恐れる」と。



 時はまたたくまに過ぎ去り、一度去った時間はとり返すことはできない。諸行無常、時はとどまらず必ず衰えゆく我が身は、朝露の如き命である」との、お示しの如く、私たちは限られた時間の中で生きていて、生かされております。この「無常」に目覚めると、人は人としての理想の生き方を求めるようになる。その心をおこすことを発菩提心と仏教では言うのです。


 『「今日が最後だ」と思って真剣にとりくみなさい』と、先人が警鐘を鳴らす。
愚鈍な人は「生あるものに老いや寿命があるのは当前のことだろう。」と真(まこと)の理(ことわり)は見えず、また聞こえないふりをする。


けれども、身近な死に出会って、ようやく少し感じるのです・・

「あの元気な人が死ぬなんて考えてもみなかった」・・・と。
「他人の死」を感じることはあっても、自分の死についてはなかなか自覚できない。


また、他の言葉でもお示しになっております。
「光陰は矢よりも迅なり、身命は露よりも脆し・・・徒らに百歳生けらんは、恨むべき日月なり、悲しむべき形骸なり、設ひ百歳の日月は声色の奴婢と馳走すとも、其中一日の行持を行取せば、一生の百歳を行取するのみに非ず、百歳の他生をも度取すべきなり、此一日の身命は尊ぶべき身命なり」とあります。


 「光陰は矢よりも迅なり、身命は露よりも脆し」とは無常の道理を説いたものであります。時々刻々の光陰は、飛ぶ矢よりも、すみやかに過ぎ去り、また我々の生命は草葉の上の、朝露が、日光で消え去るよりも、もろくてはかないものであり、過ぎ去った時を取り戻すことは出来ない・・・


 いたずらに百年生きたとしても、せっかくの生涯を無駄にすることになる。それはまことに恨むべき日月であり、悲しむべき身命である。たとい百年の日月を無自覚に過ごし、五欲の奴隷となって、いたずらに過ごしていても、その中のわずか一日でも、自覚を得て、菩提心を起こし、正しい行持を行うならば、いたずらに過ごてきた歳月も償われ、さらには百年後の命をも救済取得することにもなる。故に行持ある一日の身命は、まことに尊ぶべき身命であり、尊ぶべき姿、形であると。




するのが難しいのではない、それをしつづけることが難しいのだと。



まだ、緊急事態宣言が続いてはいますが、私たちが今できる行動を続ける、最善のことを取り組み、しつづけることが重要であります。


来月は、非常事態宣言が解除されましたら、10時と11時にご祈祷を再開させていただきます。皆さんが来月、元気にお参りに来られるように祈念致します。よろしくお願いします。


花の寺 心月齋

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