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身体健全、家内安全、交通安全などの御祈祷を行っています 

法話houwa

おもに18日観音様の法話を掲載しています。

コロナ禍の晋山式(令和3年10月18日)




今日は、10月18日、観音様の日であります。


先月は、非常事態宣言が出ていましたので、参拝者なしで、ライブ配信だけで、執り行わせて戴きました。


皆さんの顔を見て、お話をして、お話を聞いて、御祈祷をさせて戴くことは、とてもありがたいことだと、コロナ禍になり、身にしみるおもいであります。


さて、昨日はこの近くのお寺さんであります、誓海寺さんというお寺で、晋山式という行事が行われました。


 晋山の「晋」という字は、普通の「普」という字の上の二つの点を取り除いた字であります。この字は、進むという意味があります。山というのは、お寺のことですから、晋山とは、お寺に進む、すなわち、新しいご住職がお寺に入る、お披露目の儀式ということであります。


 曹洞宗の管長より、新しい住職は、任命の辞令を受けますと、お披露目の儀式である、「晋山式」をすることになっております。



しかしながら、この晋山式が執り行われますには、たいへんな準備が必要であります。そのため、「新しい住職が決まった。すぐ晋山式だ」とは、なかなかまいりません。大勢の方々を集めての盛大な儀式。私も檀家さんや信者さんの皆さんの協力を戴き、すでに晋山式から、すでに十三年が経ちます。


 曹洞宗の晋山式は、新しいご住職が到着しまして、このお寺に初めて入るという、昔ながらの形式で行われます。もうすでに住んでいるということではなく、今まさに、お寺に入るというところから儀式をするわけであります。
そのため、新しく任命された方丈は、「新命方丈」と呼ばれます。


 新しい方丈が、遠くから初めておいでになるという、古式にのっとった儀式ですから、新命方丈が一休みして、身支度を整える家が必要です。これを安下処と申します。新命方丈が、落ち着いて身を任せられるお宅ということで、親元、総代長ともいわれます。



 新命方丈は、お供の和尚様たちと共に、お茶をいただいた後、親元のお宅でお経をあげ、ご先祖様をご供養し、併せて、親元の身体健全、家内安全、子孫繁栄をお祈りなさいます。それから、身支度を整えまして、行列をつくって、お寺に向かうわけであります。



 先週の土曜日の夜中の雨もやんで、昨日、出発する準備も整い、行列には、ご詠歌を唱える和尚様やご詠歌の講員の皆さん、旗を持つ役員の方々、親元に新命方丈、新命方丈の寄り添い、大きな傘を持つ方、その後ろには、五人の侍者、今の時期でいいますと、五人の臨時の秘書みたいな方が続きます。その後ろには、お稚児さんの行列が続くわけであります。



コロナ禍ということで、お稚児さんも小規模に縮小されました。
親元の家を出て、出発場所に向かい、隊列を組んで出発。
お寺の山門に到着します。山門の前で薫り高い香を焚き、新命和尚の心構え、見識を声高らかに読み上げます。
これを私たちは、「山門法語」と呼んでいます。



 「仏殿法語」
 新命方丈は、本堂の正面に立って、ご本尊様へ、心からの三拝をなさいます。



 「土地堂法語」
招宝七郎大権修理菩薩様に、ご挨拶をいたします。この方は、それぞれのお寺をお守りする土地の神さまであります。
曹洞宗では、本尊様の右側に安置されています。




 「祖堂法語」
 次に新命方丈様は、お釈迦様より正しい仏法を中国に伝えた達磨大師の前に進み、ご挨拶をいたします。
曹洞宗では、本尊様の左側に安置されています。




 「開山堂法語」

お寺を開かれました、御開山様、歴代のご住職様に、ご挨拶をいたします。
曹洞宗では、本尊様の奥に安置されています。(例外もあります)




それが終わると、新命方丈は、一度本堂から退かれまして、庫院のお部屋で拠室・視篆という行事が行われます。

 「拠室・視篆」

 拠室とは、方丈様のお部屋で、視篆、このお寺の印鑑をあらかじめきれいに包んでおき、それを新命方丈は寺の印鑑を確認し、自分の名を書き、捺印される儀式であります。



そのあとに、今度は、

 「晋山開堂」 

と言う儀式に移ります。
 新命方丈が仏法を説き広める道場として開くということです。新命方丈が、須弥壇の上に登られ、仏法を説き、聞かせるという儀式であります。




今述べたのが、晋山式という行事でありまして、もう一つ重要な儀式があります。「住職になるためには、弟子を設けなければならない」という儀式がありまして、

 「法戦式」

と呼ばれるものであります。

 法戦式とは、新命方丈が、初めて住職として、お弟子を取り、そのお弟子さんが、仏法を皆さんの前で、説明を説くことであります。
 本来は、九十日間の厳しい規則に則った生活をしなければいけないのですが、現在は本山や修行道場だけになってしまいました。



このコロナ禍で、儀式がさらに簡素化が進みました。




そして、晋山式を行いたいのだけれども、現在は延期するのが当然のようになってしまい、年月がたち、晋山式を行えずお師匠さんが亡くなってしまう、そんな方もいらっしゃいます。


 コロナ禍ではありましたが、昨日の晋山式は、お寺と壇信徒の信頼関係が厚く、しっかりとしていて、すばらしい、たまものといえるものでした。とても有意義な一日を過ごさせて戴き、ありがたいと思う晋山式でありました。


心月齋住職 合掌







花の寺 心月齋

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