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法話
houwa
おもに18日観音様の法話を掲載しています。
君死にたまふことなかれ(令和4年8月18日)
今日は、8月18日観音様の日であります。
本日は、緊急事態宣言が発令されてはいませんが、たくさんの方がコロナウイルスに感染していることを鑑み、参拝者なしで、ライブ配信でお送りさせていただきます。
さて、今から、77年前の8月15日、正午にラジオからながれてきた玉音放送で、ポツダム宣言の受諾、及び日本の降伏が、国民に公表され、太平洋戦争が終わりました。
そして、先日の終戦の日の8月15日、日本武道館で、政府主催の全国戦没者追悼式が行われ、天皇皇后両陛下や、岸田総理大臣、およそ1000人の遺族が参列し、戦没者約310万人の冥福を祈るとともに、不戦の誓いをあらたに示されました天皇陛下は、お言葉で、今年も深い反省という表現を用いながら平和を願う気持ちを述べられました。
いまだ戦争が収束しない、ウクライナとロシアの戦い。
世の中が平和でありますようにと誰しも願う。
そんな願いの詩、戦争に反対する詩が世の中にたくさん生まれる。
その中で、とりわけインパクトが強い詩が、情景とともに浮かび上がる文章があります。
与謝野晶子の
「君死にたまふことなかれ」
この詩は、弟が中国に出兵させられた時に、自分の思いを綴って書かれたものであります。
弟よ、死んではいけないよ。
続けて次のように書かれています。
末っ子に産まれた弟よ、親は、他の兄弟だれよりも、あなたをかわいがっていました。
果たしてその親が、武器を持って人を殺せと教えたのでしょうか、
人を殺して自らも死ねと、24歳まで育てたのでしょうか。
違うでしょうと。
姉である、与謝野晶子の思いが伝わってくる文章であります。
「君死にたまふことなかれ」は、日露戦争のさなかに発表され、戦争に反対する気持ちをこの詩にあらわしました。
なぜ、戦争が起き、人が殺し合う世の中になってしまうのか。
仏教には、人のもっている、むさぼる心、貪欲について注意しなければならないと言っています。
あれがほしい。これがほしい。あれは、これは、私たちのものだ。
人の欲深さ。
しかし、その思いはそれぞれの人に強弱がある。
人を退けてまでほしい。手に入れたい。それを実行しようとすれば、排除し、手に入れるために争いを起こし、人を殺してしまう。
ましてや、時の権力者が、核弾頭のボタンをおしてしまい、世界が火の海に沈んでしまわないように。そうならないように注意していかなければならない。
ボタン一つでミサイルを発射されるものについては、いくつものセーフティネットを構築していかなければなりません。
私たちは、たくさんの生き物の命をいただいて生かされています。
人は、知恵を出し合い、対話によって物事を上手に対処できるのだと、仏教では教えています。
必要以上のものは求めず、人から与えられたら、それらを有効に使い、創意工夫して自分の人生と、他人の人生が豊かになるようにして生きたいものであります。
(2022/08/18 心月齋 観音堂にて)
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